太田忠司「翔騎号事件」 徳間書店(新書/徳間ノベルズ)

野上探偵は町の有力者から脅迫状を送った犯人を見つけると言う依頼を受ける。それは新規事業となる飛行船に関わる奇妙な脅迫状だった…と言う狩野俊介シリーズの最新作。
秘書の殺害や飛行船の謎等、いつもの「館」系とは違うややサスペンス色の強い作りになっている。いつもは事件とその裏にある闇にナイーブな狩野俊介が立ち向かうパターンだが、傲慢な有力者の葛藤や飛行船への夢、野上探偵の述懐の方に重みが置かれているように思えたのは読者である私が年をとったせいだろうか。