独身貴族の憂鬱

直属ではないが上司にKさんという人がいる。何の因果か都会から転勤してきた職場上層部の一員である。
公式にはまだ独身のK氏は会社の「寮」住まいである。そのうち引越しを考えているとのことで、中々適当な所がない、とぼやいておられた。何でも庭弄りと言うか畑仕事と言うか、要するに「土をいじる」事をやってみたい、とも。それならいっそ市の郊外の一戸建てでも買うか借りるかすれば良いのではないかと思うのだが、さてどうなるか。
それはそれとして、このように優雅な趣味を持とうというあたりに余裕が感じられる。同じ独身でも私のような期間が長いだけの似非「貴族」とはえらい違いだ。ああいう人こそ、「貴族」、いや「王」なのであろう。実際の所、独身の称号などいつでも余裕で返上出来そうでもあるし。いやはやうらやましい限りである。この私にもそういう余裕が出来る日がくるのだろうか。いやない。(反語的表現)