シーベリイ・クイン「悪魔の花嫁」 東京創元社(文庫/創元推理文庫)

婚礼を目前にした花嫁が衆人環視の下で消えた。探偵ド・グランダンは友人トロウブリッジと共に捜査を開始するが、花嫁の母の死や不可解な幼児失踪が続き、その裏には悪魔崇拝の結社の影が見え隠れする…と言う話。
「ウィアード・テイルズ」の人気作家の長編、と言うものが21世紀になって読めるとは思わなかった。元々は短編のシリーズらしく、読者はド・グランダンやトロウブリッジのキャラクターを把握しているのが前提になっているようだ。その為登場人物の把握に些か手間取ったけれど、慣れてしまえば特に問題はない。所謂「本格」的な探偵ものではなく、荒唐無稽な冒険ものでもなく、通俗小説としての探偵冒険もの。題名やカバー絵からもう少しおどろおどろしいものを想像していたが、その方面はそれほどでもなく、割と面白かった。短編の方も読んでみたいが中々入手が難しいようだ。残念。