エドワード・D.ホック(木村二郎 訳)「サイモン・アークの事件簿」I,II 東京創元社(文庫/創元推理文庫)

悪魔を探して世界中を旅する男、サイモン・アーク。彼はかつてコプト教徒で年齢は二千歳ともいう。サイモン・アークはとある事件がきっかけで友人となった「私」とともに不思議な事件に立ち向かう、と言う短編集である。サイモン・アークの存在と事件が超常現象とも思える類なので、てっきり「ジョン・サイレンス」のようなものかと期待して購入したのだが、実際には至極まっとうな推理小説だった。訳もこなれており、短編でもあることから話はとても読みやすく、期待していた怪談はない…そのように取れる部分もなくはないけれど…が、十分に楽しめる作品集だった。惜しくも作者はなくなっているけれど、続きとなるであろう短編集にも期待をしたい。