薬の効用

昨日お医者さんに行って診察してもらった上で薬を処方してもらった。
薬を飲んだら風邪の症状がいきなり治まったようになるので驚いた。プラシーボ効果もあるのだろうが効き過ぎじゃね?と思うほど。
思えば私の若い日々は薬と共にあった。見た目ほどには身体が丈夫ではなく、それが必要であったからである。異性に縁が無いのはせいのせいではないと思うが、それはそれとして、食後に数種類の薬を飲むのが当たり前でその生活から脱却したのは社会人になってからである。その後は風邪等で適宜もらって飲む事はあっても定常的な利用はなくなった。当初は「物足りなさ」を覚えたものだが、その感傷も時と言う名の砂に埋もれてしまっていたらしい。
今年は健康診断を除いて医者に行くのは初めてであり、勿論栄養ドリンクの類は別にしてだが。薬を飲むのも初めてだ。薬効成分に対する順応性などとうの昔に消え去った無防備な状態な身体である。そのせいで薬がとても効いたのであろうが、かつてを思うと少し複雑である。薬など用いなければそれに越した事は無いのは分かっているが、かつての自分はそれと共にあり、不可分と信じていた頃もあったのだ。時の流れは止められないし、昔を美化するのも潔くはないが、たまには立ち止まり、過去を振り返るのも許されるのではないか。そう思いつつ風邪薬を飲む私であった。