旅立ち

永年勤続休暇と言うものを貰えたので旅行に行く事にした。
目的地は長年の憧れ、熊野三山。熊野に行くなら木の国こと紀州の一宮も巡ろうと言う計画を延々練った挙句、最後は「まあなるようになるさ」と言う投げっぱなし予定となったが、まあそれはそれで旅の味だろうと思い込む事にする。
朝、通常より一時間早く起床し、身繕いして出発。出掛けに神棚と仏壇、仏像、近所の神社と順番に手を合わせて電車に乗り込む。乗換5回、凡そ6時間の移動である。特急と新幹線は割合混んでいたが、新幹線は隣もおらずにほぼ寝ていた。しかし新神戸で家族連れが乗り込んできて、まあそれはいいのだが、私の顔がとても面白かったらしく矢鱈チョッカイかけてくるのには参った。子供には何故か懐かれる事もあるんだよなあ。不思議だ。
そんなこんなで大阪着。小奇麗になった大阪駅等を経由して先へ進む。天気も良く、景色もすばらしい。どうでもいいが、紀州の駅名は中々個性的で面白く、それに感心していたら九度山についた。

九度山から慈尊院、丹生官省符神社

九度山駅ののどかさの中で「白の稲妻」号を組み立て、実質的な旅の始まりである。
九度山と言えば真田幸村こと信繁であるが、そのイメージそのままに街の至る所に六文銭。「真田」の文字も目立つ。
まあそれはそれとして、真田親子の蟄居していたと言う「真田庵」に到着。

武将関連ながら、地蔵菩薩を本尊とする尼寺なのだそうである。誰もいない境内を暫くうろうろ。その後、何度か道に迷いながらも「慈尊院」に到着。
弘法大師の御母堂が当時女人禁制の高野山に登れずに住んでいた所とのこと。世界遺産で雰囲気はあるけれど、思っていたよりこじんまりしていた。観光地と言うより祈りの場なのだろう。ちなみに境内の一部は工事中で些か散文的な趣であった。
慈尊院境内にはかなりの石段がある。てくてくと上がった先には同じく世界遺産の「丹生官省符神社」がある。
御朱印を頂きつつ、神社の方にお話を伺う。雰囲気がいいなあ、と思う。

二つの「丹生」神社

石段下って慈尊院でも御朱印を頂き、先に進む。紀ノ川が流れる風景は中々美しい。そんなこんなで「丹生酒殿神社」に到着。

お酒の神様と言う事で拝まない訳にはいかない(笑。ここの境内社には一部で有名らしい「鎌八幡」がある。本当に無数の鎌が突き刺さっていて吃驚した。
「丹生」の名のつく神社を二つ参った所で三つめとなる「丹生神社」へ行く事にするのだが…あまりの暑さと急坂に白旗を上げる。こういう時はどうするか。言うまでも無い「金で解決する」のだ。要するにタクシーに乗って行ったのだが、そして辿りついたのは「丹生都比売神社」。
これまた世界遺産。近頃ではパワースポットとしても有名らしい。回りの田園風景も含めていいなあ、と思った。ちなみに来がけのタクシーの運転手さんによると天野と言うこの辺りはかつては献上米を作って居たとか。面白い。

かつらぎ町観光ツアー

これで今日の予定は一応完了なのだが、丹生都比売神社から笠田駅へ向かう。前述のタクシーの運転手さんによると、来がけの妙寺駅からのルートよりは大人しい勾配だそうで、実際そうだとは思ったけれど、それでも大層な坂だった。
坂を下り終えたあたりで「蟻通神社」に遭遇。

智恵の神様なら祈らずにはいられない。
笠田駅に到着はしたが、時間があるので周辺をぶらぶら。そして「宝来山神社」に行きあたる。
とても有難い名前なので参拝。拝殿もいいが、後ろに並んだ本殿群が中々の威容である。
宝来山神社から近くの駅で電車に乗ろう、と思ったら中々駅が見つからず焦る。一時間に一本位しかないのに、乗り逃したら大変だ。なんだかんだで粉河駅についた。2駅か3駅見逃したらしい。なにやってんだか…

そして和歌山

電車に揺られて和歌山へ。途中で会社携帯が鳴りだしたので青くなる。うーん。
和歌山駅到着して、いきなり出口を間違える。土地勘ないから文字通り「西も東も分からない」。お城の近くが宿だったのだが、思ったより駅から遠くて「白の稲妻」号を組み立てて走行。まあこんなもんだよね。
チェックインして、レンタル自転車を借りる。「白」のが性能はいいがぶらぶらするには不向きなのだ。いわゆる「ママチャリ」だが、町にはこれが一番かもしれない。まあブレーキ調整甘かったけど。それはそれとして途中で虹を見た。

これがこの旅の何かを象徴しているのか。いい事であればいいが。そして町を走って「和歌山ラーメン」を食す。
しょうゆとんこつと言うジャンルらしくて割とこってり。汗かいてミネラルを失ってる身体にはとてもおいしかった。
宿に戻る途中でライトアップされた和歌山城を見るが、なんともデカい。
正直御三家なめてました。ごめんなさい。
宿に戻って洗濯して寝る。今日も疲れた。明日も早いからがんばらないと。