「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたる事の無きと思うへば」で名高い
藤原道長の日記「
御堂関白記」の解説本。面白いのは
道長の自筆と後世の写本の画像を並べている所。書き込みや書き方にも意味があり、内容と同じか、もしかするとそれ以上に思いを表しているようにも見えるから不思議。
平安時代と言えば女流文学ばかり挙げられる印象があるけれど、男性の貴族階級の日記はいくつもあり、当時の政治や
儀礼、風俗について実際的な資料となっている上に記述者の個性が出ていてとても興味深い事を改めて知らされた。
道長といえば、
摂関政治最盛期の人であまり良い印象がなかったけれど、「
御堂関白記」に触れてみるとまた違った印象が湧いて来る。いつか時間をとって改めて全訳注版をじっくり読みたくなった。