石田瑞麿「日本人と地獄」 講談社(文庫/講談社学術文庫)

インド由来で中国を経由し、仏教と共に「輸入」された「地獄」について、その歴史、構造についてまとめた本である。「古事記」等、昔ながらの日本における「黄泉」と異なる「地獄」の概念について、色々な書物から引いて説明しているのが興味深い。特に「神道集」については違った見方が出来る気がするのでその内読み直してみたい。前述の通り、色々な説明はあるけれど、惜しむらくは図版がほぼ皆無でビジュアル面での変遷が分かればなお良かったと思える。いずれにして参考文献も興味深い「辞典」としてはいいのではなかろうか。