読んだ本

横溝正史「三つ首塔」 角川書店(文庫/角川文庫)

宮本音禰は見知らぬ男との結婚を条件に莫大な遺産相続者となるが、その男とみられる死体が発見され、それを皮切りに陰惨な連続殺人の始まる。謎の男に翻弄される音禰の運命は。そして全ては血と因縁に彩られた「三つ首塔」とは…と言う話。
 推理物、というよりは冒険物で、他の横溝作品と比べてかなりエログロが前面に出ている印象を受ける。金田一耕助は出てくるものの、「八つ墓村」等と同じく主人公の一人称で語られる形式の為に狂言回しの域を出ておらず、「地方の因習」や「血の因縁」と言った「横溝もの」を期待すると肩すかしを食らう。筋と言い描写と言い、昔の二時間ドラマ的ではあり、謎解きよりテンポ(と言うか勢いか?)を重視しているようで、割り切って読めばすらすら読める悪くない小説だった。

日坂水柯「白衣のカノジョ」1巻 集英社(B6/ヤングジャンプ・コミックス)

白衣のカノジョ 1 (ヤングジャンプコミックスBJ)

白衣のカノジョ 1 (ヤングジャンプコミックスBJ)

同じアパートに住む同僚が酔って寝ボケて目の前で…から始まる地学の先生と養護の先生との恋愛(?)もの。眼鏡で白衣の先生が酔って目の前で、と言う状況で手を出さない地学の先生の自制心が凄い(笑。天然っぽい眼鏡の先生の妙な無防備感とか、二人の微妙な距離感というか緊張感がいい感じ。変な修羅場とかどろどろとかはなさそうだが、「秘密の恋」がどのように展開するのか楽しみ。

水薙竜ウィッチクラフトワークス」1,2巻 講談社(B6/アフタヌーンKC)

ウィッチクラフトワークス(1) (アフタヌーンKC)

ウィッチクラフトワークス(1) (アフタヌーンKC)

ウィッチクラフトワークス(2) (アフタヌーンKC)

ウィッチクラフトワークス(2) (アフタヌーンKC)

冴えない高校生、多華宮仄の前に謎の襲撃者が現れる。彼を救った「魔女」は学園の「姫様」こと火々里綾火だった。その日から多華宮君と火々里さんの奇妙な日常が始まって…と言う話。
冴えない男子高校生が学園のアイドル的存在と仲良くなるのは「お約束」だが、ヒロインが「魔女」で主役が「護られる側」と言うのがちょっと違う点。「工房の魔女」や「塔の魔女」、そして多華宮君の秘密など、縦糸の筋はありつつも、クールな火々里さんや多華宮妹とかの妙なキャラクターの掛け合いが楽しい作品。オチがどうなるのかは分からないけれど、このノリで進んでくれるといいな、と思う。