読んだ本

暑いので外出る気にならずに引きこもって本を読んでいた。

E.A.ポー(丸谷才一 訳)「ポー名作集」 中央公論新社(文庫/中公文庫)

「モルグ街の殺人」や「盗まれた手紙」等を含む、エドガー・アラン・ポーの八つの短編からなる作品集。探偵もの、ホラー、等、ポーの代表的な作品が味わえる。丸谷才一の訳は随分前のものだったかと思うが、今読んでも割と普通に読めるのに感心した。 C.オーギュスト・デュパンものが三作全て含まれていて、今からみれば結構「トンデモ」な所はあるが、殆どセリフだけで内容を詰めていくあたりは中々面白かった。「黒猫」や「アッシャー家(この本ではアッシャー館)」は何度読んでも独特の味がある。「ゴードン・ピム」があれば代表的なのは一通り入ると思うのだがそれはページの問題かもしれないが未収録。少し残念。

伊能秀明「大江戸捕物帳の世界」 アスキー・メディアワークス(新書/アスキー新書)

平次や半七、遠山の金さん、鬼平等、名高い「捕物帳」の舞台となる江戸時代の刑罰や実情について記した本である。事例を挙げながら簡潔に説明をしていてとても読みやすいけれど、ページの関係か全体にさらりとし過ぎな印象もある。とは言え、とっかかりとしては分かりやすい本であるから、所謂「捕物帳」を始め時代劇全般がお茶の間から遠ざかりつつある現在、このような本をきっかけに時代劇がまた隆盛するといいなあ、と思った。

近藤好和「武具の日本史」 平凡社(新書/平凡社新書)

律令時代から幕末までの「武具」を分類し、その実像と変容についてまとめた本。刀剣や鎧、弓矢それぞれ詳細に区分けして、新書にしてはとても細かく整理している。通読するより、辞典的な使い方もできると思う。そういう意味では図版をもう少し増やしてほしかった気もするが、値段を考えれば妥協できるレベルであると思う。

賀東招二フルメタル・パニック! ずっと、スタンド・バイ・ミー」上・下巻 富士見書房(文庫/富士見ファンタジア文庫)

12年に渡る「フルメタル・パニック!」シリーズの最終巻。SFミリタリーテイストのどたばたらラブコメディなのだが途中でストーリーが重苦しくなり、守るべき対象や「親」が敵対し、ボロボロになってもかなめを追い求める宗介の姿や、次々と退場するキャラクター達の姿がとても「コメディ」とは思えないほどのものとなった。その上、歴史改変SFになってどうやってまとめるのかと思ったが、やや強引と思わなくもないが、アメリカ映画のようにまとめあげたと思う。一通りの伏線とフラグを回収して、最後の最後にハッピーエンドになるのはライトノベルらしくて良かったと思う。今の所、「TSR」以降アニメ化されていないが、最終シリーズとして再アニメ化して欲しい所。あと時間があれば1巻からまた読み直してみたい。