西村京太郎「日本一周「旅号」殺人事件」 光文社(文庫/光文社文庫)

国鉄寝台列車で日本を一周する「旅号」を企画した。十津川警部の部下、日下刑事は両親はその旅に参加するが、「旅号」の行く先々で不審死が連続する…と言う話。
この本ではいわゆる「時刻表トリック」と言うのは無く「旅号」の企画参加者が不審死すると言う展開だが、この犯人(主犯)を推理で当てるのはまず無理だろう、と思う。そういう意味で些かアンフェアな気がするし、登場人物が「昔はいたかもしれないが…」と思う程リアリティがない上、犯人がクズだったりダメ人間だったりするので作品としての深みはあまりないけれど、舞台装置として「寝台特急」や「国鉄の企画」と言う意味で当時は珍しく、今では郷愁さえ誘う気がするので嫌いではない。設定上、色々な所を回るので十分な時間と金があれば2時間ドラマには向いてる作品だろうな、と思った。