葵 徳川三代 完全版 DVD-BOX

最近の大河ドラマは戦や政治の駆け引きを避ける傾向にあるようだが、そういうのが観たくなってついDVDを購入してしまった。
2000年に放映された大河ドラマで、家康・秀忠・家光を軸に江戸幕府成立から草創期を描く作品である。
放映当時、随分と軽いドラマ、と思った事もあったが、今の大河と比べると比べると全然重厚だった。
戦、特に関ヶ原は兵士や火薬の量が半端で無く、海外ではもっと大量だろうが日本では映画レベルの合戦シーンであった。これが結構な迫力で引き込まれる。
ドラマの方も主役を分散したせいか、大河の宿痾とも言える「主人公は有能で善人」と言う頸木から解き放たれ、それぞれ長短を兼ね備えた人物造型や人間関係に深みを増す事に成功していると思う。演技者は当時としてもやや年齢が高めではあるが、その分経験豊富で丁々発止のやりとりが楽しめる。些か高い買い物ではあったが、国産ドラマとしては十分な密度で楽しめるDVDであった。
視聴率的にはぱっとせず、後に今の大河ドラマにもつながる路線へ変更する事になるのだが、元々NHKは公共放送であり、目先の視聴率に捉われずに地味に良作を作れば良い、と今回の視聴で再認識した。昔の大河ドラマは順次DVD化されてはいるが、流石に全部集めるのは辛いので、再放送を上手く活用して欲しいものだ、と思った。